突然「天才」になるサヴァン症候群とは?

世界各国が研究に凌ぎを削り「人体最後のフロンティア」と呼ばれる脳の世界。驚異的な脳のチカラを持つヒトや脳の異変がもたらす謎の病など、脳には不思議な力が宿ります。

人類が未だ解明できない未知の領域である。

脳を殴打され、突然秘めたチカラが芽生えたアメリカの男性がいます。彼はこれまでなかった力を手に入れたのです。それは見た風景を瞬時に数式に変換し、CGでしか描けないような精巧な幾何学模様を描けるようになりました。

この能力を持つ人は世界で30~40人しかいない。

実はこの不思議な脳の力には名前があります。「後天性サヴァン症候群」。突然の変貌を遂げた脳の謎とは?

天才的な能力を発揮しながら、一方では生活に支障をきたすような障害を抱えているというサヴァン症候群という病気があります。気になりますよね。見ていきましょう。


天才だけど普段の生活が難しいパラ?どういうことパラ?そもそも「サヴァン」ってどういう意味パラ?

後天性サヴァン症候群とは

「サヴァン(savant)」の意味は、フランス語の「知る」が語源になり、日本語では専門分野で学識が深いという意味で使われる「碩学(せきがく)」と訳されています。

重度の精神障害を持ちながら、ある特定の分野において飛びぬけた能力を発揮するという「サヴァン症候群」が初めて報告されたのは1887年のこと。

ダウン症候群の名付け親でもあるイギリスの眼科医、J・ラングドン・ダウン博士によって発見されました。

博士はこれを「idiot savant(天才的白痴)」と名付けるも、idiot(白痴)は差別的であるということから「サヴァン症候群」と改めて呼ばれるようになりました。

サヴァン症候群の症状

サヴァン症候群の症状は、人それぞれで異なります。

例)

  • 一度読んだだけの書籍をすべて暗記できる
  • 過去の日付から曜日をリンクできる
  • 一度聞いただけの音楽を最後まで間違えずに弾ける
  • 一度みたものを写真のように描き細部まで再現できる
  • 見た風景を瞬時に数式に変換し、CGでしか描けないような細部まで描く

まさに天才!

自閉症患者の10人に1人、あるいは知的障害者、脳損傷疾患を抱える人のうち2000人に1人がサヴァン症候群を発症していると言われています。

しかし、サヴァン症候群はいまだに解明されていないことだらけ。そして、サヴァン症候群患者の多くは、自閉症や知的障害者、あるは脳損傷患者であるため、類稀な能力を発揮しながらも、一方では日常生活に必要な行動がとれないというケースが見られます。

突然起きる脳の覚醒

先天性のもの?突然出てくる?

天才は突然、姿を現す。

重度の脳震盪、くも膜下出血、外傷性脳障害、落雷による脳への障害などにより、平凡な日常生活を送っていた人が、何らかの脳への衝撃をきっかけにそれまで全く関心を持っていなかった方面へズバ抜けた能力に目覚めることが1つの理由としてあげられています。

これは脳の一部に障害が生じたり活動が低下した結果として、他の領域の活動性が高まったことが、潜在能力を引き上げた原因だと考えられています。

悲劇が天才を生む瞬間だ。

活動が低下した箇所は前頭側頭型認知症で、前頭側頭型認知症の患者には、時にサヴァンのような能力を示すケースがあることが既に報告されています。

前頭側頭型認知症で侵されやすいのは、脳の左前側頭領域と眼窩前頭皮質。この2つの領域は後頭部から送られてくる視覚系の活動を抑制する働きを持ちます。

何かしらの原因で、この視覚系の活動を抑制する働きが解除され能力がアップ!芸術的な感性が突然生まれたと考えられています。

サヴァン症候群の先天性と後天性

サヴァン症候群には、先天性と後天性があります。サヴァン症候群は脳の欠損や障害によって発症する可能性が高いと言われています。

先天性は生まれながらにして備わっているものですが、後天性の場合は事故などで脳に強い刺激が当たり、結果的に突然違った能力が開花することを指します。

脳が受けたダメージによって機能低下した部分を他の脳部位がカバーすることで、後天性の驚異的能力が生まれるのだろうと言われています。

しかし、詳しいメカニズムは分かっていません。サヴァン症候群の方の中には知覚障害者の方も多いため、因果関係など調査をしようとしても正確性、整合性に欠けることも起因していると言われています。

アメリカ、ジェイソン・パジェットの症例

アメリカワシントン州に住むジェイソン・パジェットさんは31歳の時に家具店で働く遊び好きな人でした。

ところがどっこい!

バーで飲んだ帰りに強盗に暴行を受けて、脳にひどい損傷を負ってしまいます。幸い命はとりとめたものの、目覚めた彼を待っていたのは、すべてが幾何学的な図形として見える不思議な世界。

周囲に話すも理解されず困惑する中で、孤独になり、4年間ひきこもり生活をしていました。

自分の身体が前と何か違う…。

そう思ったジェイソン・パジェットさんは、自分がサヴァン症候群、共感覚になったのではないかと感じるようになります。

そこから独自のアートを発表したり、数理学を学ぶようになりました。共感覚とは、ある刺激に対して通常の感覚だけではなく、異なる種類の感覚をも持ち合わせる知覚現象を言います。

文字や音に色を感じたり、形に味を感じたり芸術の神の域とも言える才能がそこにはあるのです。サヴァンを持っている人は違うものまで見えて、そして感じています。

人が持つさらに先の世界へ。

ジェイソンさんの描く図形は、専門のCGコンピュータを駆使しないと描けないような美しく複雑な精巧図形で、流水の構造が特有の幾何学的な図形と周波数で振動しているかのように見えると言われています。

他の例

  • オーランド・セレル
    10歳の時に野球ボールが頭部に当たる事故後、曜日計算や特定の日の出来事を思い出せるようになる。
  • トミー・マクヒュー
    51歳の時に脳出血で前頭野を損傷した後、詩や絵画の能力を得た。
  • デレク・アマート
    40歳の時、プールで脳震盪を起こした後、片側の聴覚を失ったが、突然ピアノの演奏、作曲の才能を得た。
  • トニー・シコリア
    42歳の時、公衆電話で落雷に遭った後、ロック好きが、突然クラシック音楽好きとなり、ピアノ演奏、作曲の才能を得た。

 まとめ 特殊能力はどこで芽生えるのかわからない

ちなみに、明石家さんまの弟子であるジミー大西さんもサヴァン症候群の可能性があり、彼は芸術の才能が素晴らしく突出していることでも知られています。彼は、お笑いタレントでも活躍していますが、現在は画家に転身して活躍中です。

その色使いは巨匠ピカソとそっくりだと言われるほど。

人生なにが起こるかわかりません。能力がアップするメカニズムが解明できれば、誰でも芸術家になれるかもしれない?突然開花する脳の不思議ですが、普段から脳を鍛える方法はたくさんあります。運動もその一つとされています。


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