カメラの基礎知識

動画を綺麗に撮る!X-T4のおすすめ設定方法

富士フイルムのX-T4は、写真と動画のバランス性能が非常にいい機種だと思います。スチールとムービーの切り替えも、スイッチ1つでメニューなどが最適化されるため、とても使いやすいです。撮影者が止まってる状態での動画撮影は、手ぶれ補正がとても優秀なのでジンバルはいらないレベルだと思います。

三脚を用意してカメラを固定、そして撮影していく場合、撮影した動画映像はブレがないためプロが撮影しているようなとても綺麗な安定映像が撮れます。

ただ、極めて小さなブレがある動画映像は、人が手でカメラを持っている感覚が映像の中に伝わってくるので、それはそれで暖かみのある動画を撮影することができます。

臨場感を出したいときにはジンバルや三脚だと安定しすぎなので、パン・チルト・固定などの動画撮影時、X-T4の静かで小さなブレがちょうどいい感じです。

さらに富士フイルム最大の武器である「フィルムシミュレーション」。クラシッククロームやクラシックネガなどに加えて、心地よいほどの小さな手ぶれがとても懐かしい空気を生み出します。

思っている以上に動画性能がよかったので、XーT4で動画を綺麗に撮影できる動画設定になります。1人ひとり撮影スタイルが違うので、あくまでも参考程度に考えていただけると幸いです。

X-T4で綺麗な動画を撮る撮影方法の設定

X-T4レビュー

※ X-T4で綺麗な撮影をする設定ですが、「作品作り」として残しておきたい設定を前提にしています。

H265とH264はどっちを使う?

ファイル形式にH265とH264を選ぶことができます。アップル形式の「MOV」から「H264」が派生として最初に登場し、その後にH265形式が登場しました。

H265形式は2013年に登場した比較的新しいファイル形式になります。H264の約半分まで圧縮できるので同程度の画質を容量を抑えながら撮影していくことが可能です。

X-T4でH265を選択すると10bitで撮影できますが、これは簡単にいうと「H264の8bitよりも非常に綺麗な色を記録できますよ~」って意味です。(ちなみにX-T4では、H264を外部出力したら10bitになります。SDカード記録は8bit)

H264は4K動画サイズまで対応していますが、H265は8K動画サイズを撮影することができる形式です。

一見すると、H265に設定しておいたほうが綺麗な画質を保存できそうですが、H265ファイル形式は最近のものなので、再生機器が対応していないと、せっかく撮影した動画が見れない事態に陥ります。また、色の情報量が非常に多いため、パソコンなどで編集・再生する場合はハイスペックパソコンを用意する必要があります。

一方のH264はスマホ・パソコンなどあらゆる再生機器に対応しているので、使い勝手がいいです。編集環境・再生環境があるのなら、色情報の多い10bit環境で撮影できるMOV/H.265(HEVC)LPCMのほうがいいかもしれませんが、個人的にはH264がおすすめです。

AOMedia Video 1(AV1)の足音

余談ですが、H265よりも新規格の米国の非営利団体アライアンス・フォー・オープン・メディア(AOM)が2018年に公開した「AOMedia Video 1(AV1)」というファイル形式。

グーグル・YOUTUBEやアップルなど多くの大手IT企業が参入をはじめているため、今後の主流はこっちの形式になる動きを見せています。

2013年にH265は登場しましたが、数年たってもH264がいまだ主流の状態です。なぜ大手企業はH265ではなく、AOMedia Video 1(AV1)ファイル形式を使うのでしょうか?

それは、AOM(AV1)の動画圧縮率はH.265と比べると、2割以上向上できるとうたっているためです。つまり、H264から4倍以上圧縮できる形式だということ。H265よりも大量の情報を少ない容量で高画質に保存できるのです。

未来の世界でどうなるのかわかりませんが、どちらにしても現段階X-T4で「H265」を用いて撮影した動画を編集したい場合は、動画編集ソフト・再生機器がH.265に対応しているのか確認が必要で、重たい編集作業になることを考えると、H264のファイル形式が無難かなと思います。

動画圧縮方式とフレームレート

ちなみに、MOV/H.265(HEVC)LPCMに設定すると、DCI 17:9の場合は動画圧縮方式「ALL-Intra」では強制的にフレームレートが29.97Pになります。59.94Pで撮影することができません。そのため、「Long GOP」に切り替える必要があります。(ALL-Intraは高画質で記録ができるもので、Long GOPは長時間の録画に向いています。All-Intraは圧縮率が低くビットレートが高いためデータ量が大きい半面、動画編集の際の動作はスムーズになります。Long GOPは60P(59.94P)の記録が可能です)

X-T4の設定ではここらへんがとても複雑になっており、痒い所に手が届かない惜しい点でもあります。

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X-T4のおすすめ設定

そういうわけで、1つ1つ書いていたらごちゃごちゃして頭が混乱してしまうので、おすすめ設定方法が以下になります。

H264、30P撮影のとき

  • 動画モード
    DCI 17:9(4096 ×2160)
    29.97P
    400Mbps
  • 動画圧縮方式
    ALL-Intra
  • ファイル形式
    MOV/H.264 LPCM
  • ブレ防止
    パン・チルト IBIS/OIS+DIS
    固定 IBIS/OIS+DIS+Boost

H264、60P撮影のとき

  • 動画モード
    4k 16:9(3840 ×2160)
    59.94P
    200Mbps
  • 動画圧縮方式
    Long GOP
  • ファイル形式
    MOV/H.264 LPCM
  • ブレ防止
    パン・チルト IBIS/OIS+DIS
    固定 IBIS/OIS+DIS+Boost

H265で撮影するとき

  • 動画モード
    DCI 17:9(4096 ×2160)
    59.94P
    200Mbps
  • 動画圧縮方式
    Long GOP
  • ファイル形式
    MOV/H.265(HEVC) LPCM
  • ブレ防止
    パン・チルト IBIS/OIS+DIS
    固定 IBIS/OIS+DIS+Boost

30P・60P、フレームレートの違い

写真撮影のときには考えないものが動画撮影のときには出てきます。例えばフレームレート。29.97P、59.94Pなど「数字fps」で表記されるものです。

どのように使い分けるといいのでしょうか?

フレームレートは枚数を意味します。写真を撮影すると、その中にあるのは1枚の絵ですよね?では連射機能を使い、パンをしながら10枚撮影します。撮影された写真は10枚ですね。この横にパン移動させた10枚を連続で再生すると「動き」になります。

これどこかで見覚えがありませんか?そう、「パラパラ漫画」です。授業中に教科書の端に絵を書いてこっそりとパラパラ漫画を作っていた人も多いのではないでしょうか?

この動きがカメラで起きている、静止画から動画を作る元になります。要するに、動画は写真を何枚も連続で表示させているもの。

10枚なら動画の絵はカクカクになりますが、その枚数が増えるほど動きと動きの中間画像があるため、動画の動きはスムーズになります。

例えば人が手を上げる動きをした3枚のパラパラ漫画よりも、同じ動きで180枚のパラパラ漫画にしたほうが動きが細かく描けるのでスムーズな動きになるのです。

人が片手を上げる動きを再現する場合
3枚 = 手を下げた状態・手を横にした状態・手を上げた状態
180枚 = 1度ずつ手を上げていく(180度)

フレームレートの仕組みはなんとなくわかったと思います。では、29.97P、59.94Pはどのように使い分けるといいのでしょうか?実は一般的な使い方があります。

  • 24P = 映画
  • 29.97P = テレビ
  • 59.94P = スポーツ・ゲーム

この他にも25fpsなどのフレームレート数はありますが、ヨーロッパなどの値になります。日本はアメリカ方式を取り入れているので上記が目安です。

枚数が一番多い59.94Pにしたらいいんじゃないの?と思いそうですが、そう単純な話ではなく、人の目で見たときに違和感がないフレームレート数は「29.97P」とされています。

29.97Pと59.94Pは単純に画像の枚数が倍に増えているので、59.94Pは「ぬるぬる」とした動きになります。例えば風景を動画で撮影する場合には29.97Pで十分です。優しい風に吹かれる花を動画で撮影する場合にも29.97Pで十分。一方で強風に吹かれる花は動きが激しいです。その場合は59.94Pの方がいいでしょう。

テレビでスポーツ観戦をしているときに、なんだか残像があるような違和感を感じませんか?これは人の動きに対して枚数が少ないので動きがブレてしまっているためです。そこで59.94Pを使います。枚数が倍に増えたことで残像が残らずに滑らかな動きで見ることができます。

そうなのです。フレームレートは被写体で変更する必要があります。

59.94Pですべてを撮影すると、動画によってはぬるぬると動きすぎて人間の目に違和感を覚えさせてしまうため、フレームレートを変更するのがめんどくさい人は「29.97P」を常用するといいでしょう。一般的に最も使用されているのは29.97Pです。

  • 動きの遅いもの 
    29.97P
  • 動きの速いもの
    59.94P

ビットレートとシャッタースピード

ビットレートとは

ビットレートは「400Mbps」や「200Mbps」を意味します。数字が大きいほどより高画質に撮影することができるため、400Mbpsで撮影しておくと、あとで編集したい場合にも画質の劣化を抑えることができます。ただし、ビットレートを高くすると容量を多く消費するので、SDカードの空き容量に注意をする必要があります。

X-T4では設定方法によりビットレートが変更されます。上記に記載した3つの「綺麗に動画が撮影できる設定方法」を参考にしてください。

シャッタースピードを操る

動画を綺麗に撮影するため、一番重要な設定がこのシャッタースピードの調整です。

写真を撮影するときには「A(オートモード)」にしてることも多いと思います。滝や流し撮りを撮影するときに少し変えるくらいでしょうか?

動画は写真とは違い複雑です。

Aモードで動画を撮影すると、カメラが勝手にシャッタースピードを変更しながら録画してしまうため、意図しない仕上がりになることもあります。動画は基本的に動きを出すもの。綺麗な動画を撮るには「流れ」が重要になります。

要するに「ブレ」です。写真ではブレが天敵になりますが、動画では多少のブレを作ることで違和感のない綺麗に流れる映像が作れます。

「29.97P」にフレームレートを設定しているときには、シャッタースピードを「1/60」に固定してください。「59.94P」にフレームレートを設定しているときには、シャッタースピードを「1/120」に固定してください。

動画の流れを設定したスピードの値で固定しながら撮影していくため、安定した映像を撮ることができます。シャッタースピードはフレームレートの倍になるように設定すると覚えておくといいでしょう。30Pなら1/60、60Pなら1/120です。

  • フレームレート 30P(29.97P)
    シャッタースピード 1/60
  • フレームレート 60P(59.94P)
    シャッタースピード 1/120

ISOとF値で明るさを調整する

シャッタースピードを固定しました。これで綺麗な映像が撮影できるかと思えば、そう簡単にいかないのが動画撮影の難しいところです。

晴れの日に屋外に出て、手元にあるマニュアル設定のできるカメラで試してみるとわかりやすいですが、真っ白になってしまうのです。これは1/60にシャッタースピードを固定しているためです。シャッタースピードをAモードにかえてみましょう。すると白飛びがなくなりました。

このようにシャッタースピードを固定したことでまた別の問題が出てきてしまうのです。そこで微調整が必要です。使用するのは「ISO」と「F値」。

F値の数字を上げていきましょう。カメラの液晶画面が暗くなっていくはずです。絞りを開けると光を多く取り込むため明るく、逆に絞ると光が少なくなるので暗くなります。(F値はあげても11くらいまでに抑えておいたほうがいいです。F22までいくと画質が悪くなる場合もあります)

ただ、一眼カメラで撮影するのでボケをいかした撮影がしたいですよね?そうなると、F値はレンズの最小付近(F1~F3.5)をキープしたい…。そうなると画面全体が白飛びして何も見えない…。

では、ISOはどうでしょう?ISOは高感度に直結した機能で、ISOを上げていくと明るくなり、ISOを下げていくと暗くなります。ISOを上げるとノイズが目立ってしまいますが、写真よりも動きのある動画はさらにノイズが目立つので、可能な限り抑える必要があります。X-T4ではISO3200がギリギリ。できればISO1600以下で使いたいところです。

X-T4で綺麗な動画を撮るISOとF値

  • ISO160 ~ ISO400
  • F値は8以下

つまり、F値は明るい設定の方が綺麗に撮れ、ISOも明るい設定の方が綺麗に撮れます。動画を一眼カメラで綺麗に撮影したい場合には、白飛びし放題の設定になってしまうのです。

どうしたいいのでしょう…。

NDフィルターで白飛びを回避する

そこで白飛びを防ぐために使うアイテムが、NDフィルターです。NDフィルターは写真で滝などを撮影する際に、水に流れを表現するときに使うものです。減光効果があるため、シャッタースピードを稼ぐことができます。

これを動画に利用します。上記の設定で白飛びした原因は光が必要以上に入り込んでしまっているためです。だから光を少なくしたらいいのです。NDフィルターを使って減光します。

NDフィルターにも種類があります。「減光効果の数字」と「フィルター・レンズ口径」に注意して購入してください。

通常はND8で大丈夫かと思いますが、日光の強い環境ではND8でも白飛びすることがあるので、ND16もあると安心できます。動画を主に撮影する人ではND16の方を持っている人が多いみたいですね。

減光効果を調整できる「可変式NDフィルター」などもありますが、質の悪いものでは隅が黒くなること、X模様が出ることもあるので注意が必要です。減光が固定されたNDフィルターの方が安心できると思います。(ただ、動画撮影の場合は光の強弱が秒単位で変わることもあるので、可変フィルターのほうがフィルター取り換えの手間が省けるメリットはあります)

NDフィルター(楽天)

可変フィルター(楽天)

綺麗に動画撮影をする場合には、NDフィルターは必須になります。

【関連】可変式NDフィルターのレビュー

Mフォーカス

被写体にもよりますが、止まってるものはマニュアルフォーカスで設定したほうがいいでしょう。オートフォーカスではカメラが自動でフォーカス箇所を変更するため、意図しない場所にピントが合ったり、外れたりします。

動物などの動きがある被写体では、マニュアルフォーカスが難しい場面が多々あるので、「AFC」に切り替えるなどして対処しましょう。X-T4でフォーカスを切り替える場所は前面にあります。(画像使いまわしのためピンボケしていますが、赤丸の部分です)

X-T4の設定。前面Fnボタンをブーストに割り当てる

X-T4では、設定によりボタンを任意の設定に変更することができます。とても便利な機能です。

X-T4では手ぶれ補正+電子手ぶれ補正に加えて固定撮影用にブースト機能があります。このブースト機能も各ボタンに割り当てることができるのですが、カメラグリップを握ったままでブーストをかけることができる、前面のFnボタンに割り当てると使い勝手が向上します。(赤丸の部分です)

また、動画専用動作モードはONにします。スチール(写真)機能と独立した設定ができるので、上部のダイヤルをいちいち回す必要がなくなります。動画専用機として使う場合にはそのままでもいいでしょう。

「設定 → コマンドダイヤル設定」から、前面のダイヤルをF値、後方のダイヤルをISOに設定します。他は「なし」へ。誤作動防止や使い勝手が向上します。

  • 前面Fnボタンをブーストに割り当てる
  • 動画専用動作モードをONへ
  • 前面のダイヤルはF値に変更
  • 後方のダイヤルはISOに変更
  • MY登録の設定でよく使う機能を登録する

まとめ

X-T4の動画機能は想像以上に素晴らしいものでした。移動しながらの撮影ではジンバルが必要ですが、横にスライドさせたり固定する撮影では、手ぶれ補正の安定感が絶妙に抜群です。さらに安定した動画を撮影するために、シャッタースピードなどを操りましょう。

【関連】X-T4のレビューとカメラがブレる原因は?【動画編】

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