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話題の現代貨幣理論「MMT」とは?異端の経済をわかりやすく説明

2019年8月21日

最近、「MMT」という単語をよく見かけませんか?これは経済に関する言葉になりますが、海外で大きな注目を集めています。

「MMT」は、現代貨幣理論 (げんだいかへいりろん)のこと。または、現代金融理論(げんだいきんゆうりろん)とも言います。

わけわかめ。

「MMT」の元は英語なので、英語に直すとわかるかもしれません。「Modern Monetary Theory」または「Modern Money Theory」

最上級のわけわかめ。

日本語でも英語でもいまいちピンとこない、頭の痛くなりそうな「MMT」ですが、どのような理論のことを指しているのでしょうか?

MMT経済理論とは

急に出てきたように思える「MMT」ですが、MMTはニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授らが提唱している経済理論になります。

現在の日本では、全国民から税として大手企業にお金を集めて、その潤った大手企業が社員の給料を上げることで生活が豊かになり、消費が増えて経済を活発にするという考え方で過ごしてきました。(実際は給料が思うように底上げ出来ずに失敗していますが…。)

その一方で、MMTは自国通貨建てであればインフレが発生するまで財政出動が可能になるという考え方です。現在の主流派経済学とはかなり考え方が異なっていることがわかります。

ポイントは、日本のように「自国通貨建」であること。ヨーロッパの通貨を共同という形で使用していたことで破綻したギリシャなどには当てはまらない理論です。

経済を刺激するには主に3つの考え方があります。

  • 財政政策
    → 政府が公共事業などを行って景気を刺激する
  • 金融政策
    → 金利を引き下げることで銀行の貸し出し増加を狙う
  • 規制緩和
    → 経済の仕組みを変えて自発的にお金が回り出すよう促す

MMTをわかりやすく解説

MMTとは、「現代貨幣理論」の略ですがなぜ今、話題になっているのでしょうか?

その理由はアメリカの選挙が関係しています。MMTの提唱者のステファニー・ケルトン教授は、2016年のアメリカ大統領選挙に立候補した、民主党・バーニー・サンダース上院議員の経済アドバイザーでした。

サンダースさんは民主主義を大事にしながら貧困層の声を聴くスタイルで選挙活動をおこない、大きな支持と話題を集めました。

そして2018年11月の選挙では、米国で史上最年少の女性下院議員になった民主党・アレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員がステファニー・ケルトン教授の経済理論を支持。このことで、一気に世界が注目をはじめたのです。

これまでの経済理論とは全く違う考え方で話題を呼びます。

MMT理論を簡単にいうと…。

政府は赤字を垂れ流してOK!

こういうことです。むしろ、政府は赤字を垂れ流し続けなければいけません。

「ん?」と、首をかしげる人も多いのではないでしょうか?はい、これまでの経済理論とは真逆です。赤字が出たら嫌ですよね?不況の真っ只中にいる日本では、「赤字」と聞いただけで恐怖を感じる経営者もいるでしょう。

企業は赤字が出たら会社の信用にかかわります。赤字が拡大していくと最悪、倒産に追い込まれる可能性もあります。そのため、赤字が出ないようにやりくりしています。

一般的な考えでは、赤字が出ないように黒字を目指していくものですが、MMT理論は180度方向転換します。政府は赤字を出し続けなければいけないのです。

政府は。

日本政府は「赤字を減らすため、借金を返すために税金をあげなければいけない、増税だ」と唄っています。

これは大きな間違い。政府はある程度の範囲内で予算を毎年組んでいますが間違いです。予算は組まなくていいのです。赤字を垂れ流していいのです。

っと、いうのがMMT経済理論になります。

借金から生まれるお金

手元にいくらかお金がありますよね?1円でもいいです。そのお金は誰かが借金をしたお金だということを知っていましたか?すべてのお金は誰かの借金から成り立っています。

例えば、何か事業をするときに「お金が足りない!」と、新規事業をしたいのに、金銭面で無理な場合があります。そうなると、「銀行に借りに行かなくちゃ!」となるわけです。

お金を貸してくれる銀行に行きます。

1000万円を借りたとしましょう。銀行は1000万円を貸してくれました。事業する側はプラス1000万円の財産が増えました。「わーい!」。でも、この瞬間に銀行は1000万円のお金が減ったわけではありません。

銀行が持っている1000万円のお金を個人に貸したのに、銀行はマイナス1000万円にならない?

実はカラクリっていうほどのものでもありませんが事情があります。銀行はそもそもいろんな人からお金を預かっている場所です。お金を貸す個人からお金を借りる個人へお金が直接流れると、お金を貸す側の個人はお金がマイナス1000万円減ります。そして、お金を借りる個人はプラス1000万円になります。

でも、個人と個人の間に銀行が仲介することで事情が変わるのです。どういうことかというと、銀行が新しいお金として、金が必要な人へ貸しているということ。この時に銀行は「金利」をつけます。

1000万円+α(金利)で、銀行に返済していくことになりますが、みんながみんな同じことをしていき、すべてのお金に金利が付く限りは、借りた元になるお金以上のものを集めないといけなくなるので、結果的にお金が足りなくなってしまいます。

つまり、お金と借金を増やし続けなければいけないシステムが現在の状況です。

経済成長をしていくと、銀行は民間にお金を貸し続けることができます。でも、経済が失速していくと、銀行もちからがなくなってしまい、経済の循環が悪くなっていきます。

お金は誰かの借金で出来ています。

どうでしょう?経済がストップするとお金を借りる人がいません。借金をする民間がいなくなりました。これではお金を作ることができません。誰かが借金をしてくれないと経済が動き出さない最悪な状況です。

「誰かー!」

そこで「政府」です。経済が止まった、あるいは動きが悪いときに政府が借金をしてどんどんとお金を使う必要があります。つまり、このMMTの仕組みは政府が借金をすることを容認しないと続かない経済理論に辿り着くわけです。

経済が活発に動いているときは問題ありません。民間企業が新規事業などの投資をはじめるために銀行へお金を借りに行ってくれるからです。銀行は金利を発行して新しいお金として取引をします。

でも、不景気になると民間企業では利益が激減してしまい、新規事業をおこなう体力がないためお金を借りることができません。そもそも今の経営を維持させるために、お金を借りる発想自体が生まれません。

銀行は貸す相手がいないので、新しいお金を市場に出すことができない状態です。政府も赤字を気にしてお金を借りません。借りないどころか、お金のないところから税金を集めているため、ますます民間は衰退してしまいます。

お金がなくなった民間は、もはや手も足も出ない状況です。手も足も出せるのは「政府」。お金を作ることができる政府だけ。

政府が銀行にお金を借りて借金をすることで、再び市場に新しいお金が作られ経済が回り出します。景気回復につなげることができるようになるのです。

「MMT」統合政府の考え方

日本では、政府と中央銀行が分離しています。政府がお金を借りたいときには、中央銀行からお金を借りる必要があります。

MMTの考えでは、政府と中央銀行を統合した「統合政府」の考え方を取っています。つまり、一体化することで政府が自ら通貨を発行することが可能になるため、中央銀行の役割が非常に小さくなっていくということ。

これ、少し怖いですね。政府がワンクッションなしに日本人のお金を好きなように使えるということです。MMT理論でいけば国が破綻することはないでしょうが、政治家に恩恵のある利権目的の不正が増えそうな懸念があります。

「MMT」税金の考え方

MMTでは、不況時に支出した財政資金は好況時に税金を通じて回収されるとしています。

どういうことかというと、景気の状況に応じて税率を変更する考え方です。デフレ経済で庶民が「苦しいよ~」と言ってるときには減税を積極的におこないます。財政出動もします。

そして、景気が回復してきました。苦しかったデフレ時期を乗り越え、インフレに時期になり庶民の顔に笑顔を戻ります。生活が楽になってきました。

そこで増税を行います。減らした税金を逆に上げるのです。景気を冷え込ませることになりますが、財政出動分を回収できます。このようにしてバランスをとっていきます。

「MMT」雇用の考え方

MMTでは、政府が労働市場に直接介入することを考えにしています。政府が希望者全員に一定の賃金水準を与えて仕事を提供する仕組みです。

不況時には希望者への仕事の提供で財政支出は増えます。反対に好況時には財政支出は減少しますが、MMTの考え方では、完全雇用の状態に達すれば財政支出は必要なくなるため、インフレは起こらないとしています。

これがMMT理論。

極端な話、莫大な資金を持っている中央銀行をなくして政府のちからを極限に強めることになるため、国の在り方そのものを大きく変える覚悟がなければ、MMTの経済理論通りにおこなうことは難しい、あるいは実行されるまでに長い時間がかかることが予想されます。

MMT理論の問題点

「MMT経済理論の通りにしたら経済回復できるかも!?」と思いますが、そう簡単な話でもありません。

結局は「借金」だということ。どこまでいっても借金だということ。

政府にお金を貸しているのは銀行です。銀行がお金を作って政府にお金を貸している状態です。貸すときに利息がかかるので、政府が返すときに利息を銀行や預金者に払うことになります。

銀行にお金を預けているのは、お金がある人。

つまり、お金のある人達のところへ不労所得として入り続けるということ。世界では格差社会が問題になっていますが、これがさらに拡大することが懸念されます。格差社会は社会全体を不安定にします。犯罪も増え、スラム街も作ってしまいます。

もちろん、これは統合政府の考え方を抜かしたMMT理論になります。統合政府にすることで問題点が出てきそうですが、分離した状態のままでも問題が出てきそうだということ。

でもこれは、MMT後のさらに先の世界になるので、「そういう懸念もあるかも」程度に考えておくといいでしょう。

また、政府が借金を膨らませて支出を増やしていけば、全体として国内の需要が供給を上回る。そして、いずれかの時点でインフレが起きるとしていますが、万一インフレが加速して、お金の価値がどんどん下がっていくとどうなるのでしょうか?

インフレに左右される不動産や株式の資産をたくさん持つ富裕層は、悪影響がそれほどないかもしれません。逆に資産が増えるかもしれません。

でも、お金のない人、年金に頼る高齢者の暮らしは一気に苦しくなる恐れがあります。賃金が物価ほど伸びなければ若い現役世代の生活にも大打撃を受ける可能性も。インフレは物価を上げてしまうので、賃金が低いままだと食べ物が買えないという事態になります。

加速し過ぎたインフレをどこかのタイミングで止める必要があります。MMTはコントロールをしながらおこなう必要が出てきます。

っかと言って、世界の富が数パーセントだけに集まっている現在の経済理論がうまくいってるとも言えず、経済は難しい…。

まとめ MMTは1つの経済理論

MMTでは、政府債務がどれだけ膨らんで財政赤字になっても、財政再建をせずとも債務不履行に陥ることはないと理論付けています。

その理由は、政府は通貨発行権を持っているから。いくらでも通貨を供給できるため、たとえ債務の期限が来ても、通貨を発行して支払えば何も問題ありません。お金を作ることができるのですから。ただし、自国で通過が発行できる国に限ります。

MMT経済理論の「政府は赤字でもいい。借金をし続けても問題はない。やり続けることができる。」これは1つの経済理論として間違いではありません。しかし、その弊害も警戒しておく必要がありそうです。

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